まだまだ中級。暗渠ハンター(旧『東京Peeling!』)

『暗渠マニアック!』(柏書房)著者。以前まで『東京Peeling!』というタイトルで綴ってましたが容量限界に伴ってこちらに。これを機にタイトルも変更しました。だって暗渠のことしか書いてないんだもんw 「中級」とは上下の概念でなくどっちつかずの曖昧な(あやしい・胡散臭い)もの、というニュアンスでご理解ください。トークや展示などの告知もここでしていきます。

銭湯×暗渠トーク無事終了、ありがとうございました!

9月9日、日曜日の午後2時。まだ残暑厳しく8月気分。
杉並区立郷土博物館分館で行われている展示、
郷土博物館分館企画展「杉並銭湯いまむかし つながる人、まち」。

その関連イベントに暗渠マニアックスがお呼ばれし、
高円寺の小杉湯番頭兼イラストレータ―である塩谷歩波さんといっしょに
「銭湯×暗渠 その魅力を探る」
と題したトークをやってきました。


おかげさまで大盛況。定員40人のところ、60人くらいおいでいただいていたようです。
ほんとうにありがたい限りです。心から感謝申し上げます。
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さて一番手は塩谷さん。
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なぜこの道に入ったのか、これまでの経歴を振り返りながら、
銭湯のいろいろな楽しみ方をご提案。
たくさんツボった言葉があったのですが、中でも
「罪悪感から逃れられる安らぎの場所としての銭湯」というのがとても心に響きました。
私もよく「じぶんの心の中の暗渠」とか
「誰もが心の中に暗渠を抱えている」とかほざいてますけど、
それとおんなじように、自分の心と向き合う装置が銭湯であるか暗渠であるかの違いでしかないのかな、
なんて思ったのです。
そのほか塩谷さんは「銭湯で宇宙を感じる」的なこともおっしゃってたので、
ぜひ続編があればそっち方面も深めてみたいものです。

われわれ暗渠マニアックスは、いつもの役割分担でのお話を。
特に私は今回、2階で展示されている「区内銭湯の開業・廃業一覧データ」をお借り受けし、
一歩深めた分析ができないかと試みた結果をお話しました。
吉村さんもいつものご当地深掘り歴史ニュース。
今回は特に銭湯だけでなく釣り堀に関しても惜しげなくストックを披露。

ご来場のみなさんのおかげでなんか我々自身もとても楽しい時間を過ごすことができました。
改めて、お礼申し上げます。
ありがとうございました。

ちなみに塩谷さん、来年1月にご自身で書き溜めている
銭湯イラストの本を出版されるそうです。こちらも楽しみですね。
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登戸にあった鮎鷹の話~「はま太郎フェス」グビリオバトルから

先日の『はま太郎フェス』での催し、
「知的バッカス合戦 グビリオバトル!」で私がご披露したお話を、
こちらでもご紹介いたしますね。
5分きっかりで話をしようと、おおまかなラップタイムまで書いた「読み上げ原稿」です。

*

みなさんが「はじめて独り呑み」をしたのはいつですか?

みなさんの「はじめての行きつけの店」は、どんな店でしたか?

今日は、私の「はじめての独り呑み・はじめての行きつけの店」のお話をします。

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【場所と店の様子】

時は30余年前。バブルさなかの1988年。

社会人2年め、23歳の私は、当時、多摩川の川沿い、川崎市は登戸というところで暮らしていました。

当時の登戸は、適度に下品で、適度ににぎわう小さな街でした。その街のはずれに、古くて小さな一軒家、「鮎鷹(魚の鮎に、鳥の鷹)」という飲み屋があったのです。

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暗い入口にかかる、色あせた暖簾と、穴だらけの赤提灯。

しかし引き戸の上の鴨居には、見事な透かし彫りがあり、どこかプライドも感じます。

いつか独りではいるなら、こんな酒場がいいなあと思っていました。

いつも客がいる気配がないので、なんだか敷居も高かったのですが、その佇まいに通るたび、魅かれてました。

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きっかけは忘れましたが、ある日勇気をもってがらごろと引き戸を開けました。

コンクリートの土間。

カウンターがあり、そこに丸椅子が10席ほど並んでいるだけ。

客も、BGMもない店内は、がらんとしてとても広く見えました。

カウンターの中では、70前後のじいさんがやはり丸椅子に黙って座っています。

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壁は、煤けたベニヤ張り。所々、壁になじむように、色あせた戦艦武蔵だの長瀞の四季だののポスターが、貼られていました。

短冊に筆書きのメニューが数枚、じいさんの後ろにまばらにぶら下がってますが、薄暗い店内ではその色あせた文字は到底読めません。

このやる気のなさが、たまらなく優しい店でした。

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【店での飲食】

いつも客のいない鮎鷹で、私はビールを注文します。

じいさんは、きっちり冷えたキリンビール大瓶を取り出し、いつも最初の一杯だけお酌してくれました。

「おつかれさん」としゃがれた小さな声とともに、人生の大先輩から注がれるビールは、どこか格別な味がしました。

何度か通ってからようやく聞いた話ですが、隣にあるおもちゃ屋が本業で、こっちは道楽でやってるそうです。

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じいさんはいつも黙ってどこかをじっと見て、ときたま思い出したようにじぶんの湯飲みに入れた何かをちびりと飲んでいました。

 

そうして、登戸から引っ越すまでの2年間、この「鮎鷹」と適度な距離を保ちながら、つきあったのでした。

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15年後の鮎鷹】

月日は流れ、15年ほど前の夜。

仕事で近所に来た時に、「鮎鷹」の前を通ってみました。外観は全く変わりません。

しかし煌々と灯りがともる店内からは、大音量のカラオケが聞こえてきました。

そのとき、もうじいさんは店にはいないことが一瞬にしてわかりました。

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【鮎鷹の再発見】

そしてその後私は、暗渠の道に入ります。

8年前、登戸の暗渠を探しに行った折、また店前(みせまえ)を通ったら、今度はラーメン屋に変わってました。

もはや鮎鷹がないことは知っていたので、さしたる哀しみも湧きません。

まあこんなもんだよな、と背を向けて、気まぐれに向いの小さな路地に入ってみます。

すると。

 

そこには小さな蓋暗渠があったのです。

「はじめてのわたしの店」鮎鷹も、暗渠とともにあったことを、そのとき初めて知りました。

客もまばらな鮎鷹で、毎日何を思い・何を感じて座っているんですか?

じいさんに、尋ねてみればよかったなあ。

 

これが、私の「川沿いの魅力的な酒場」のお話です。

*

前日つまり9/1、話すにあたってやはり現場を見ておいた方がいいよなあ、と思い立って、
昼からの用事の前にトンボ返りで登戸に向かったのです。
2018年9月1日時点でのマピオンの地図がこれ。
図1
赤い点線が鮎鷹跡地です。
さらにラーメン屋でない何かになっているようです。

そして、青い点線がこの時(2010年の拙ブログ記事)
に確認した蓋暗渠です。
googleEarth 画像がこれ。
まずは鮎鷹。
図3
鮎鷹跡地では建物が残っています。これは間違いなくかつての鮎鷹です。

そして蓋暗渠。
図2
よしよし。
では、現場はどうなっているかというと…。


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がーん。
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この電柱のとこに鮎鷹(元)があったはずです。
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この電柱…の向こうに…
そして蓋暗渠はここに…。
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まっさら更地。
このときのショックがお判りいただけますでしょうか。

翌日の(つまり上記の)グビリオ用原稿にこの更地化のことを織り込むつもりはありませんでしたが、
読んでる途中にこの「鮎鷹跡地・消滅」の風景を思い出してしまったら
感極まって泣いてしまうかもしれない…。
でもそれはみっともないしお客様から意味も解らないだろうから絶対に泣いてはいけない、いかんぞ自分。
などと予期不安に対して強く否定を繰り返し気を落ち着かせようとしていました。

しかしね…。こうして自分の想い出の場所が初期化されて痕跡もなくなっちゃう、っていうのはやっぱりさびしいことですね。
この時と同じ感情です。

こういうもんなんでしょうね、こういうことと向き合っていくのが人生なのでしょうね。

震災や津波などの災害で、いっぺんにそしてたくさんの
「じぶんの場所の履歴」が消えてしまった方も多くいらっしゃるはずです。
その方々のことを考えると、
これしきのことでさびしいとか哀しいとか、言ってられません。
呑みこみます。
ただ、どこかに書いて残しておきたかったので。



はま太郎フェスで「はまQ」。

この7月には、星羊社さん&猫綱さんと、こんなトークイベントをやりましたが、
そのご縁もあって9/2、『はま太郎フェス』におよばれしました!

これは、星羊社さんの創業5周年、『はま太郎』創刊15号を記念して、
星羊社さんのある伊勢佐木町のイセビル
(これがね、建って100年になろうとする歴史的物件ですごく素敵なビルなのです)
地下のCAVEというお店を借り切って行われた、計5時間にわたるパーティー。
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スーマーさんのライブや
河童さんと天狗さんのライブ、河童さんトークなどあって、
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我々も「はまQ(たかやま)&関連の横浜暗渠紹介(よしむら)」などやらせていただきました。
その「はまQ」からの1問。
この写真で、煙突のところの銭湯の名前を言い当てた猛者がいましたよ。

キャプチャ
さすが横浜大好きな人ばっかなんですねこの会場は。


まあそのほかにはお約束のシルエットクイズなども。
さて何川でしょう?
キャプチャ1


そして最後の催しは「グビリオバトル」。
ビブリオバトルの飲み屋版だそうです。
この日は、バトラーが各自5分きっかりで「川沿いの魅力的な酒場」のプレゼンをして、
会場の投票によって勝者(いちばん行きたくなった酒場)を決めるルール。

3日前に星羊社さんから、まだバトラー枠空いてるからやってみないかとお声をかけて頂いたときは
「自分、スライドないと何も話せないんで…」といったんお断りしたのですが、
そういう状況も己の修行のためにはいいかなあ、と思い直してお引き受けすることに。
もーね、きっちり原稿作って5分きっかりに終わるよう30回くらい練習しましたよw

私がお話ししたのは、川崎市の登戸にあった「鮎鷹」という酒場のこと。
暗渠マニアらしく、「もうすでになくなってしまった店」のお話です。

いちおう、話をするときに「いまの跡地」を見ておいた方がいいかなあ、
と思い立ち、前日の朝ちょっとだけ現地に行きました。
ところが…。
建物はつぶされて、いやつぶされるどころか辺り一帯が再開発で更地になってました。
これはショックでした。
現場で泣きそうになりました。
まあお話の中身については次の記事でご紹介するとして…。

さてグビリオ、結局私含め4人がプレゼン。
優勝は、松江の「やまいち」のお話を披露された在華坊さん!
圧倒的に美味そうなお話!おめでとうございます!!!

…私は参加賞を頂きましたw
(参加賞:ボルカノのスパゲッチ 1㎏ !!!)
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ちなみに、7月トークでもご一緒だった猫綱さん、
今回はミニコミ誌『横浜暗渠散歩』を制作して会場で販売。
ソッコーで完売してましたねー!

愉しい一日でした。
改めまして、星羊社さん創業5周年おめでとうございます!

夏の終りのマンホール×暗渠トーク

そのトリを飾るイベントの詳細発表です。
(9/8のトーク予定は諸般の事情で延期となりました。また近々あらためて!)
じゃん!こちら↓
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予約はここからどうぞ。

2018年 09月 29日 (土) 
18:00~20:00
tokyo bike 高円寺店(東京都)
です。

入場料は特になく、ワンドリンクのご注文でお愉しみ頂けます。
お気軽に遊びに来てください。
(でも会場のキャパの都合もあるので、ご予約制とさせて頂きます。50席のみ、お早目に!)

でもでも意外に、同じ嗜好であるマンホール趣味の人たちでも、実はすっごいに差があったりするんですのよ奥様。 そんな「小さいけどおっきな差異」を、暗渠趣味の我々吉村・髙山が、会場のみなさまといっしょに激しく突っ込んだり優しく共感したりするだけのイベントです。
我々暗渠マニアックスといっしょに、なんでもない道路を眺めるのマンホーラーは、『マツコの知らない世界』などマスコミに登場することも多いあの4人。
帰り道は、あなたの「街を見る目」がさらに豊かになっているはず!


場所は、そう、今年3月に「杉並マンホール展」をやったあのおしゃれスポット。
さらーに!
同じく3月に「杉並暗渠展」でスピンオフ企画として妄想暗渠カレーを販売した
妄想インドカレー ネグラさんも今回特別に『妄想マンホールカレー』(別料金です)のケータリングで参戦!…どんなカレーなんだよw


ま、とにかくたのしい時間にします!

『ALTスケール』で暗渠を味わおう!「3 囲み」

ちょっと間が開いちゃいました。
これの続きを書かなくちゃ。

というわけで、暗渠鑑賞ツール
『暗渠鑑賞に、あると便利な「ALT(Ankyo Landscape Tasting)スケール」』
キャプチャ
の使い方解説、三回目は
3 囲み
です。

これは、暗渠を囲むものたちを含め切り取った風景全体の味わいです。

・どれだけ川筋が凹んでいるか
・崖や擁壁に挟まれているのか

・川幅は太いのか、細いのか
など周囲の状況やそれとの川(暗渠)のバランスに着目して鑑賞してみましょう。

*
まずは川の高低差を感じましょう。川筋の両側は高く、そして川筋自体は低くなっていることでしょう。
街なかの暗渠では、他の地面からほんの少し低くなっているケースがよくあります。
下は横浜、滝の川の暗渠。
段差
一見、暗渠がすっかり風景に溶け込んでいるようにも見えますが、
階段数段分の違和感、として街に刻まれていることがわかります。
この違和感を、街の柔らかな表情と見るか、未だ残るわがままな人間からの疎外と見るか。
それを感じながら今のあなたの心のありようと向かい合ってみましょう。

またある場所では、両側もしくは片側が、切り立つように聳えているかもしれません。
下は同じ滝の川の上流地点です。
右手右岸は崖。如何にこの川の流れが激しいといえ、ここまでに削るには何年かかったことでしょう。
IMG_2287 (1)
その時間とともに、今の擁壁のありようを感じてみましょう。

擁壁にも、素材や積み方、付帯物などによっていろいろな分類があり、愉しみかたがあります。
私も過去のトークでこの問題をお話したことがありますが、
暗渠とのつながりがどんどん希薄になり、スベった苦い経験があるので
ここで詳しくは申し上げないことにします。
擁壁

擁壁2

また擁壁ではなく家々などの建物に囲まれている、という川(暗渠)も多いはず。
擁壁が自然のかこいだとすればこちらは人工のかこいです。
積極的にその風景も味わいましょう。
下は東京東部、小岩付近の暗渠道です。
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また平地に流れる用水の暗渠のように、何にも囲まれておらずすこーんとあけっぴろげな暗渠も清々しいものがあります。
下は葛飾区新高砂駅付近の暗渠。
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さいごに、川(暗渠)の幅も大きく印象や風景を左右する要素です。
極細の暗渠にはたまらない非日常感・秘境感があり入口を見ただけで想像力が掻き立てられてぞくぞくするものですね。
この先に何が待っているのだろう、と確かめざるを得ない気持ちになります。
こちらは古河庭園から流れてくる藍染川の支流です。
細い


また、こんなかつての大河の姿を誇るような暗渠も、その雄大さの分だけ大きな喪失感を抱かせてくれ、充分な寂寥感を味わうことができます。
下は足立区と埼玉県の県境付近、三味線堀の暗渠。
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では次回は、「4.うわべ」を鑑賞していきましょう。

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