11/17にあった『東京スリバチ学会の沖縄遠征!』に参加してきました。

まあその内容はきっといろんなかたがたが書かれると思うのでそちらをご参照ください。


 

ここでは、その翌日に我々暗渠マニアックスが主催した緊急特別企画

『尾方博士のカルストツアー:今日、沖縄でホンモノのスリバチを体験するぜ』

について、書いておきます。

これが実現した経緯についてはまた後日(たぶん)どこかで書きますので、まずここでは事実、すなわち行程をご紹介するかんじで。

 

尾方先生(尾方博士)は、琉球大学の教員をされています。
(ブラタモリの那覇の回でもタモリさん相手にあちこちで解説をされていた方ですね)

専門は、『地球科学』って言っていいのかしらん。

世界をまたにかけ、地学、地理学、地質学などをベースに、地球、そしていまわれわれが立っているここ、この場所の成り立ちを研究してらっしゃる方。

その尾方先生に、贅沢にも沖縄の地を巡りながら解説頂く機会を頂戴しました。

そこに、東京スリバチ学会の皆川会長含め、
知的好奇心迸る前日の「
東京スリバチ学会の沖縄遠征!」参加メンバーを中心に、

総勢14名が集まってお教えを賜った、というわけです。

 

だいじなことなのでもう一度いいます。

このツアーのタイトルは、

『尾方博士のカルストツアー:今日、沖縄でホンモノのスリバチを体験するぜ』

です。

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このタイトルでのプログラムを制作し実演してくださった尾方先生もそうだし、

このタイトルのプログラムに率先して参加くださった皆川さんたちにも、

私は心から敬意を表したいです。

9時頃に「道の駅許田」に集合。屋上、西のほうの見晴らしが良い場所に移動して、

簡単な自己紹介のあと尾方先生から

「みなさんは、今日は東日本と西日本、どちらからいらっしゃいました?」

という問いからスタート。

たぶん尾方先生は以降もこの導入を使われると思うのでこの問いの答えは省略(笑)。

そして、遠く海の向こうに見える名護市方面を指しながら、

本州を成す秩父帯、四万十帯がここ沖縄まで続いており、
それらの境界があそこの指さす方からそっちのほうに亘っている、とのお話を聴く。
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ふだんそういう「地質学的思考」で目の前の現象を捉えていなかったので、
私がふだん暮らしているあたりの地面のせめぎあいがここまで繋がっている、

ということにまず驚きました。

「暗渠は街の見方を変える魔法のメガネだ」

ってふだんから言ってますが、それは「地質だって魔法のメガネ」なわけです。

本来1日たっぷりかけるツアーですが、
参加者の半分が夕方の飛行機を取っているので半日に凝縮してプログラムを練っていただきました。

なので、そそくさと次のポイントに移動。

名護市を越えて本部町、塩川まで、クルマ3台に分乗して移動。

その名の通り、塩水が湧きだして流れを作る川なのです。

説明版には「そういう湧水は世界に2つしかない」と書いてありましたが、

それは「ウソだから信じないように」

と尾方先生。

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ここでは、先生の問いかけにみんなが答えるようにして、

水が雨として降ったあとの「蒸発」「涵養」「流出」の3つのゆくえについても教わりました。

そしてこの川に湧いているのは、決して海水ではなく

「塩分を含んだ地層」である「混合帯」を通過してくる塩水なんだ、と教えて頂きました。

私が一番反応したのは「トレーサーというものを使って、地下水の流れを確認する」ところでしたねー。

同位体とか、ウラニンという試薬を土壌にしみこませ、
それが予想した地点で湧いてくるかどうかを確認し、流れを特定するんだそうです。

「うっわトレーサー欲しい!」と思って

後日webで値段を確認したら、一式で10万円は軽くすることが判明。

いったんあきらめます…。

 

その他、石灰岩が採れる場所にセメント工場がある理由とか、

この場所(秩父帯)で採れる石灰岩と首里で採れる石灰岩との密度の違いとか教えていただいたし、

皆川会長からは「セメントとコンクリートの違い」なんかも教えて頂きました。

そして、今回持ってきた自前測定器で塩川の電気伝導率などを測定。

水温は25度ですが、

TDS5169ppm!(これまでいくつかの場所での測定値の30倍!つまり濃ゆーい塩水)
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そして電気伝導率(EC)はなんと、「測定不能」でした!

たぶん電気通しまくりなのでしょう。

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(測定中の姿を吉村さんに撮ってもらっていました。ありがとうございます)

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このあと山里カルストに移動しますが、

それは次の回で。